CV:三瓶由布子
遠征隊で斥候の要を担当する若き騎士。物静かで控えめな性格だが、自分の担当する仕事はしっかりこなしていく。行軍時に見せる料理の腕もなかなかだ。ただ、見知らぬ人と関わるときは、どうしてもその内気で臆病な一面を見せてしまう。
誕生日:8月11日
所属:西風騎士団
神の目:氷
命ノ星座:森鳩座
名刺:インデックス…己の描いた地図を手にするたびに、少年は自分が世界の拓本を持ち上げたことを実感する。
紹介文:平凡な家庭に生まれた若い騎士。小隊では「前進測量士」を担当している。控えめで慎重な性格の持ち主。
騎士団本部に来るたび、ミカはいつも同僚との業務連絡をできるだけ早く終わらせ、こっそりと離れていく。誰かの仕事のペースを邪魔したくない、そう彼は思っているからだ。
ミカは話しかけられると、過度に緊張してしまう傾向にある。礼儀正しく雑談を終えるやいなや、彼は慌てたように逃げ出すのだ。
騎士たちはこの若者の名がミカと言うこと、彼が同僚ホフマンの弟、つまりシュミット家の次男坊であり、今は遊撃小隊に属していることを知っている。
だがミカの仕事や、いま騎士団で広く使われている新しいバージョンの軍用地図が彼の手によるものだということを、彼らは知らない。
そうした地図には、モンド周辺にあるほとんどのエリアの地形データや、大量の実用的な注釈がまとめられている――
すべての道の状況や、潜在的な魔物の密集地域、占拠できる高地の位置に、自然資源の種類と開発状況など…その詳しさたるや目まいがするほどだ。
それらはすべて、ミカが二年間をかけて、自らモンドの各地を歩き回り観測した成果である。
ミカと一緒に戦ったことのある数少ない騎士は、彼の戦闘スタイルについても知っている。ミカは槍とクロスボウを同時に扱うことに長けており、そうした戦い方が彼らの印象に残るのは当然のことだった。
だが彼らはみな、ミカからこう頼まれていた――彼のことを、なるべく他の人には話さないでほしい、と。
「ミカは注目されるのが怖いんだ。褒められるのはもちろん、人に見つめられるだけでとても緊張してしまうんだと。だから世話になった身として、先輩として、俺たちがあの子の気持ちを汲んでやるのは当たり前のことだろ。」
★逢遇の因縁(ほうぐうのいんねん)
★同行の旅路(どうこうのたびじ)
★遊撃の心得(ゆうげきのこころえ)
★霜晴の祈念(そうせいのきねん)
★道標の鳴鏑(みちしるべのなりかぶら)
★臨機の策応(りんきのさくおう)
★西風槍術・鏑矢(せぴゅろすそうじゅつ・かぶらや)
★スターフロストスワール:霜天の下、それは星芒なり。
★スカイフェザーソング:「窮地の中に希望を抱き、順調な時は警戒を怠らぬ…何故なら、その純白の羽根は、やがて彷徨う旅者を導くからだ。」
★速射牽制(そくしゃけんせい)
★地形測量(ちけいそくりょう)
★デマケーション
ミカはかつて、生死の狭間に陥るような危機を経験した。
それは遊撃小隊に入ってまもない頃のこと。任務を引き受けたミカはいつも通り単独で行動し、情報が古くなったエリアに行き、そこの地形を詳しく描き直すことにした。
彼は廃墟の中に忍び込んだが、誤って崖際の石を落とし、暗闇にいた二人のアビスの魔術師を引きつけてしまった。
炎が絡み合い、元素の奔流が一瞬にしてミカを包み込む。まるで彼をすり潰して蒸し焼きにし、魔物の佳肴にでもするかのように。
痛みとパニックが五感を侵すなか、ミカの意識に残ったのはただ一つ――この敵から逃げ切り、後方の仲間たちに知らせることだった。
「たとえ遊撃小隊の先輩たちでも…このように待ち伏せされれば…きっと危機に陥ってしまいます!」
前進測量士の責務は、まさに仲間をこうした窮地に立たせないことにある。アビスの魔術師たちがしめたと手を叩き、他の潜伏している魔物たちの偽装を解こうとした時、回転する槍が炎の幕を切り裂き、満天の氷霧が廃墟に満ちた熱を抑えこんだ。
彼らが気付いたころにはミカはもう遠くへと逃げており、そして彼は声を大にして謝罪した――
「ごめんなさい!次からは先にノックして、先輩たちに正々堂々あなたたちと対決してもらうようにしますから!」
そして、ミカの言った「次」はすぐに訪れる。情報を掴んだ遊撃小隊の主力が続々と到着し、それら伏兵を慎重に片付けた。
同僚たちは、アビスの魔術師たちの元素バリアがすでにぼろぼろになっていたことに驚いていたが、ミカの右腕に光り輝く「神の目」があるの見て、合点がいったようだった…
その日、遊撃小隊の夕食会はひときわ豪華なものになった。皆ミカのために祝杯をあげたが、彼自身はまだ恐怖が収まりきらず、何が起こったのか、まるで理解できていないようだった。
キャラクターストーリー1
ミカは愛情あふれる和やかな家庭で育った――母はモンドの風土作家で、父は退役した西風騎士、兄のホフマンは現役の騎士団の一員だ。
ミカが読み書きを学びはじめたばかりの頃、両親は新しい本の取材で旅に出ており、幼いミカの世話は兄のホフマンに任されていた。
しかし兄はすっかり騎士団の仲間たちに馴染み、昼は真面目に仕事をして、夜は酒に溺れるという暮らしを送っており…本人がこの有様のため、彼が弟の面倒を見ることなどできるわけもなかった。
そして反対に、ミカのほうが幼い頃からきちんとした生活習慣を身につけることになる。昼は自分の面倒を見て、夜になると兄の面倒を見ていた。ほとんどの子供がまだのんびりと遊ぶだけだった頃、幼いミカは自分できちんと生活できていた上に、ホフマンの衣食住まで手伝っていた。
両親は安否を伝えるため、手紙を毎週モンドに届けるよう人に頼んでいた。母は筆が立ち、彼女が道沿いの風景を描写するために用いる言葉の数々は童話のように魅力的だった。幼いミカは手紙と照らし合わせながら地図を読み、両親のいる場所を確認して、彼らの旅のルートを描くのが好きだった。そうして両親の旅における不思議な出来事を想像するのが、ミカにとって最も楽しいことだったのだ。
いつの間にか幼いミカは地図を読むことが好きになり、多くの場所の地形をすらすらと暗唱できるようになった。しかし、そこにホフマンから残念な知らせが届く――「おふくろと親父が残してくれたモンドの地図だが、あれは古すぎる。最初にあの地図が描かれた時点では、精度も大したことなかったはずだ。あまり覚える意味はないかもしれないぞ。」
しかし、それは仕方のないことだった。野外で自由に行動できる人間のほとんどは、頭に依頼とモラのことしかない冒険者だ。地図?そんなもの、使えればそれでいい、と。
一方、地図を描ける人間の多くは戦闘に長けておらず、限られた収入でボディガードを雇うこともできない。彼らにとってそのために自ら野外に行くのは大変な危険を伴った。
騎士団の予算に余裕ができれば、この問題を解決するために専門家を雇うことができるかもしれない。しかし今の平和なモンドで、この件がいつ議題に上るかは誰にも分からなかった。
ミカは幼いなりに考えた――父と母のように、地図の隅々まで歩き回り、足元の大地を細かいところまで記録する…それ以上に面白いことなんて、この世にはないはずだ。
そして、ミカは明確な人生の目標を持つようになった――
「僕が、地図を描く専門家になるよ。」
キャラクターストーリー2
両親がモンドに戻った後、ミカは自分の夢を打ち明けた。それを聞いた彼らは大喜びし、彼を全力でサポートすると約束した。
その日から、ミカは図書館でテイワットの地理に関する勉強と、絵を描く練習に没頭するようになった。
リサはこの礼儀正しく、才能がある上に勤勉な少年を気に入ったようだ。彼女はよくミカが本を探すのを手伝ったり、彼が遠回りをしないよう導いてやったりした。
長きにわたって研鑽を積んだミカの能力は、やがてリサに認められ――「今のあなたなら教令院の選抜に応募しても、本当に受かるかもしれないわよ。」とまで言わしめた。
その後、ミカが外を調査する機会を探り始めたころ、ちょうど図書館で知り合いになったエラ・マスクが離れた野外にヒルチャールと交流しに行くため、道案内のガイドを必要としていた。それが、ミカの初めての仕事となった。最終的に二人は無事目的地までたどり着いたものの、ヒルチャールとの交流はうまく行かず、彼らにこてんぱんにされたのだった…
ミカはこの挫折を、自分の力が足りなかったせいだとした――「自分を守る術を身につけなければ、見知らぬエリアを探索することはできません。」
その一件の後、ミカは地理の勉強と同じくらいの気合を入れて、兄と共に戦闘技術を学び始めた。生まれ持った体質か、ミカはすぐにそれらを身につけていった。
ちょうどその時、騎士団が三年後に控える遠征の計画が起草された。彼らはまだ人手を募っており、その中には「前進測量士」という役職があった。
その応募条件は非常に厳しく、まず応募者は地図を描ける能力を持つこと、そして危険な環境に身を置くため、部隊の前衛を長期的に担えて、魔物と戦う方法を知っていることが求められた。
ミカにとってのチャンスが来た。それは想像よりも素晴らしかったが、同時に思わず尻込みしてしまうものだった…
というのもミカは自分の能力を生かすなら、せいぜい外部から助言する役として部隊に加わる程度だろう、と考えていた。まさか騎士団が募集しているのが正規メンバーで、しかも前衛を務めるような精鋭だとは思ってもみなかったのだ。このような「強者だけが担える」大任、果たして自分にその資格はあるのか――彼はそう不安に思い、躊躇したこともあった。
しかし幸いにも、父と兄の励ましがその不安を払拭してくれた。彼らの言葉をミカはずっと心に刻んでいる――
「自分に多くを求めなくてもいい。チームのために全力を尽くすことができれば、それは自分の責任を全うしたと言えるだろう。」
「ほとんどの西風騎士は俺たちのような普通の人間だ。そうした人々が、素晴らしいチームワークで任務を成し遂げる。それは一人の強者にも劣らないことなんだぞ。」
こうして、ミカはそのチャンスを逃さず、西風騎士団に応募した。
少なくともこれからは、自分の愛することを仕事にできる。そう考えて、ミカは自分を落ち着けたのだった。
キャラクターストーリー3
ミカが選抜に応募したという噂は、たちまち西風騎士団中に広がった。
「ホフマンの弟も騎士団に入るらしいぞ!まさか、いつも酔っ払いの面倒を見てたあのミカ坊がなあ!」
自分がこれほど注目されるとは、無垢なミカは想像もしなかった。彼は緊張のあまり呼吸が速くなり、心臓はバクバクと跳ねた――うまく行かなければ父に恥をかけ、兄も非難されることになる。ひいてはシュミット家の名に泥を塗ってしまう、と彼は心配になった。
シュミット家はすでに何人も入団者を輩出した家であり、騎士団は公平性担保のため選抜の難易度を上げると共に、その過程を民衆に公開することにした。
実際の遠征で遭遇するであろう状況を踏まえ、試験官のガイアは過酷とも言えるほどの課題を出した――
鎧を着て重荷を背負いながら、限られた物資を頼りに、制限時間内にドラゴンスパインの中腹まで行くこと。
そして何も参考にできる情報がない状態で、魔物の襲撃に耐えながら、特定のエリアの地図を描き直すこと…
幸いミカはこのためにたくさん準備をしたため、全力を尽くして最も厳しいステージを突破し、三人の合格者のうちの一人となれた。
試験中、他の受験者の二人は多かれ少なかれミカからの助けを得ていた。なぜならミカにとって彼らはライバルではなく、将来の同僚だったからである。
大団長ファルカはチームワークを重んじるこの新人を高く評価し、他の二人をそれぞれ騎兵小隊と調査小隊に配属させたうえで、ミカを遠征に同行させることにした。
それだけでなく、毎週ファルカは時間を割いてミカに戦闘技術を教え、様々な「課題」を出した。
その後、ミカは遊撃小隊に編入されることになった。あの特別個性的な隊長に接する過程でチームにおけるコミュニケーション能力を磨き、エリートの集まる遠征隊に早く慣れることができるように。
こうして、騎士団に入ったミカは遊撃小隊で職務を遂行し、前進測量士として危険な地域で鍛錬を続けている。それと同時にファルカの指導を受け、地図を描く以外の能力を伸ばし続けてもいる。
素直な若き新人であるミカは徐々に成長して、より冷静で頼もしい存在になっていた。ただ、本人はまだそれに気づいていないようだ。
キャラクターストーリー4
長きにわたる実戦で鍛えられ、ミカは二年と経たないうちに遊撃小隊のコアメンバーとなって、数え切れないほどの任務をこなした。
やがて計画の日が訪れ、遠征隊がまもなく旅立つというとき。
壮行会で、大団長ファルカはミカの右腕の「神の目」に明らかに嬉しそうな驚きを見せた。だが、何度かミカと手合わせした後、大団長は「素晴らしいが、まだまだ足りんな。」という評価を残した。
当時のミカには、まだ大団長のその言葉が理解できていなかった。遠征隊が出発し、危険なエリアに足を踏み入れて初めて、ようやくミカは大団長がどのような魔物を基準としていたのか、段々と理解できるようになる。
あれら名状しがたき彷徨える「もの」は、はぐれた騎士にとって悪夢のような存在であった。
前衛たちの偵察の進み具合は、遠征隊全体の前進速度に直結する。出動が最も頻繁な日々にあっては、ミカは一日にたったの三十分しか休むことができなかった。
未曾有のプレッシャーに息が詰まりそうになるミカだったが、そうした未知なる危険の他に更にもう一つ、虎視眈々と窺う勢力があった…
とある疲れた夜、休憩に入ろうとしたミカは突然、別の小隊の前衛から警告を受けた――騎士団が敵と遭遇したのだ。
ミカが慌てて駆けつけた時には、ファルカがすでに精鋭たちを集めて戦闘態勢を整えていた。
夜の闇に、背の高い兵士たちの壁が微かに見える。まるで生気のない戦う機械のように、彼らは静かに立っていた。
そして、敵の戦線の中央には漆黒の鋭利な人影。その顔はまるで火の光では照らすことができないかのごとく、人の心を奪うような暗い光だけが、その幽幽たる青い双眸から溢れ出ていた。やがてミカは仲間から、相手の正体を聞かされた――ファデュイ執行官「隊長」、および彼の直属の尖兵たち。
西風騎士団の前衛がファデュイの前哨と遭遇してしまい、神経を過敏にした双方の増援合戦の末、ついにはお互いの最高責任者が出張る事態になったらしい。
空気に漂う硝煙の臭いは強烈で、危機感を覚えたミカの手足は痺れ、冷たくなった。
もし対峙が衝突へと変わっとき、自分はどうすればいいのか。
特にあの執行官…彼の何気ない一撃さえ、自分には受け流せないだろう、そうミカは思っていた。
雑念と重度の疲労でミカの呼吸は速くなり、集中が困難になった。
しかし、ファルカは余裕綽々という態度で遠くの相手に挨拶すると、武器を手に一人「隊長」のほうへ歩み寄った。「隊長」も部下に待機するよう指示して、ゆっくりと前に出る。
双方が極度の緊張状態にあるなか、ファルカは「隊長」と短い話し合いの末、合意に至ったようだった。
漆黒の人影が手を少し上げると、ファデュイの尖兵たちは音もなく幽霊のように消えていった。
その場にいた西風騎士たちはみな長い安堵のため息をつき、中には身震いする者もいた。しかし騎士団の戦線に戻ったファルカは、落ち着いた態度のままこう言った――
「なんて偶然だ!こんな状況でなければ、あいつとは機を見てやり合ってみたいと思ってたんだがな!」
「あいつも意地を張るようなやつじゃない。見知らぬ土地で争うことが、お互いにとって不利益になるとわかってる…」
その時初めて、ミカは自分が戦争の導火線を跨いでいたことを、深く意識させられた。幸い、その導火線は点火されずに済んだのだが。
「隊長」の強烈な威圧感、そして大団長の危機における冷静な機転…この対峙は、ミカの記憶に深く刻まれた。
ミカはどんどん力をつけてこそいたが、このような事態に平然と対応できるようになるには、まだまだ先は長そうだった。
チームに全力を尽くすことで満足するのではなく、もっと努力し、もっと信頼されるようになり、あらゆる不測の事態を適切に処理できなければならない、そう彼は長いこと反省していた…
キャラクターストーリー5
幸い、続く遠征の行程でミカはそれ以上危険に直面することなく、最も困難な時期を無事乗り切った。
そしてモンドの「ブリーズブリュー祭」期間中、ミカは大団長の手紙を携えてモンドへと戻り、遊撃小隊に帰還した。
遊撃小隊の仲間たちは歓喜しながらも驚いた――ミカの実力は、今や前衛三人分の仕事を一人でも余裕でこなせるほど目覚ましい進歩を遂げていたのだ。
大団長の手紙には、詳細は省かれつつもファデュイのことが書かれており、そしてミカが大団長の直属だったことを考えると…仲間たちの間で雑談が続くなか、とある奇妙な論理の連鎖が生まれた。――
「ミカはファデュイと手合わせしたに違いない!それも恐らくファデュイの精鋭と!それどころか、大団長と一緒に執行官とさえ戦ったかもしれないぞ!」
「でなければ、急にあそこまで強くなれるはずがない!今や、ミカも俺たちの大英雄だ。今のミカになら、どんなことだって頼めるぞ!」
実のところ、ミカは確かに遠征で充分に鍛えられたとはいえ、遠征に同行した他の西風騎士たちもみな程度の差こそあれ練度は上がっていた。ただ、彼らがまだ帰ってきておらず、比較する対象がいないというだけの話であった。
こうした荒唐無稽な噂にどう釈明すればいいかわからず、ミカはジンとガイアに相談を持ちかけた。
ジンは各小隊の責任者に、冷静さを保ち、証拠に欠く情報を流さないようにと慎重に伝えた。また、遠征に関わる多くの事柄は軍事機密であり、もとより慎重に扱うべきであると釘を刺したのだった。
一方、ガイアはそれに納得せず、冗談めかしてこう言った――「西風騎士たちはみな、多かれ少なかれファデュイに不平不満がある。『ミカがファデュイをやっつけた』なんて、なかなか士気の上がりそうな噂じゃないか。」
とにかく、代理団長はすでに状況を把握していたうえ、誰か他人に迷惑をかけたわけでもなかったので…ミカもそれ以上取り乱すことはしなかった。
彼はいつも通り職務を執行し、助けを求める仲間に全力で手を差し伸べる。ただ、誇張された噂が流れ、皆に信用されすぎるというのも、それはそれで困ったことのようだ…
最近は新しい地図の貸出や、武器のメンテナンス依頼、さらに遊撃小隊のレーションを一口たかろうとする者が現れるなど、ミカを頼る仲間は増える一方だ。
「前進測量士の勢い」にあやかり、ミカのように早く成長したいと皆思っているのだろう。
「統合型前進測量装置」 (「とうごうがたぜんしんそくりょうそうち」)
ミカが持ち歩く精巧な作りの装置。分厚い本のような形をしている。
この装置は、ミカが調査小隊の技術者とともに開発したものであり、主要な部品はアルベドの最新の錬金術の成果に基づいている――
装置の中にはメモ帳がセットされていて、情報を記録することができる。各ページは素早く取り外して置き換えられるため、そのまま簡単に地図を作成することができるのだ。
ケース背面の板材には精巧な模様が刻まれている。この模様に元素力を注ぎ込むことで背面の菱形の部品が作動し、目標区画に向けて探測用の「波束」を発射できる。
「波束」がターゲットに当たり跳ね返ったエコーを受信し、送信と受信の時間差を計算することで、対象との距離を正確に測定することができる。さらに「波束」を出す間隔を速め、幅を大きくすることで、狭い範囲の地形を立体的にトレースすることも可能だ。
この機能を使えば、地図を描くうえで精度の大幅な向上が見込める。ただ残念ながら、探測で得られるすべての情報とその計算過程は、使用者の頭脳で処理する必要がある。
この機能を正しく使いこなせるのは、対象となる地形に精通し、平面地図を正確に記憶でき、高い空間認識能力を持つエリートだけだ。
そのため、この装置をスムーズに扱える前進測量士はミカだけであり、故に頻繁に使われるべきものでもない。
他の小隊に配備される予定だった改良型装備も、結局はミカの装備のためのスペアとして保管されることになった。
この装置は最も優秀な前進測量士であるミカの腕利きの助手であり、名誉の象徴でもある。だが、ミカはその素晴らしさを他の誰かに語ることはなかった。
ミカからすれば、それでは自慢しているようになってしまうし、それでアルベドに余計な仕事をさせてしまうかもしれない…そうして誰かに迷惑をかけてしまうのは、ミカとしては本意ではないのだ。
挨拶
●初めまして…:西風騎士団遊撃小隊所属、前進測量士ミカ、報告に参りました。あなたと一緒に肩を並べて戦えるのは、僕にとって光栄なことです。何かあればいつでもお申し付けください…全力を尽くして、あなたの進む道を偵察し、敵情を突き止めて見せます!
●世間話・目標…速やかに心身の状態を整えないと…次の任務は、いつ来るかわからないからな…
●世間話・地形の記録…現在位置を確認、目標区画に向けて距離を測定…よし、地形の記録が完了しました。
●世間話・道の探索…どんな環境でも子細に探索をすれば、きっとスムーズに進める道が見つかるはずです…
●雨の日…:すごい雨ですね…地面がぬかるまないといいんですが。でないと、みなさんのブーツを拭く必要が出てきますし…そうなったら、ご飯を作る時間がなくなってしまいます…
●雷の日…:雷は、行動の際に生じる音をかき消してくれます。僕たちの仲間と言ってもいいでしょう…
●雪の日…:積もった雪は一見綺麗ですが、元の地形を覆ってしまいますから、あまり好きではありません。
●晴れの日…:柔らかな日差しに良好な視界、観測条件も揃ってます…いやぁ、清々しい気分ですね!
●暴風の日…:この風は…風神の意思によるものでしょうか、それとも、大気が地形に作用したもの…?
●おはよう…:あっ!…えと、おはようございます…!僕、遠征隊がよく食べる朝食を用意しておきました。もしよろしければお食事をしながら、本日の行動計画を教えていただけませんか?
●こんにちは…:少々お待ちください。もうすぐ遊撃小隊の大好物――野戦ランチ3号ができあがります。あとで、お昼休みに適切な場所が近くにないか、僕が見回ってきますね。
●こんばんは…:夕食ができました。今回もレーションで、見た目はあまりよくないですが…栄養は充分に摂れるはずです、どうかお気になさらず…あっ、メンテナンスが必要な装備があれば、そちらもお任せください。
●おやすみ…:まだ時間も早いので、今日の観測記録を整理しようと思っています。行軍ベッドはすでに用意できましたから、先にお休みになられてはどうですか?体力が回復できたころには夜食もできているはずですから、その時また見張りを交代しましょう。
●誕生日…:こ、こういう時は…何と言ったらいいんでしょう…えっと、今日は最も特別な日です!最も賑やかで、最も盛大な方法でお祝いしましょう!あなたのために、あまり知られていない美しい風景がたくさん載っている「モンド絶景観光ガイド」も用意しました。今日から、来年またこの日がくるまで…毎日が幸せでありますように!
自己紹介
●自身について・仕事…前進測量士、ですか?このポジションの責務は…未知の地域に最初に足を踏み入れ、地形を偵察して戦略的要所を見つけることです。時には敵の哨兵に対処する必要もありますから…地図のための測量に加えて、戦闘、医療、サバイバルなどの技術も習得しなければなりません…
●自身について・雑務…テントを建てたり、料理をしたり、装備をメンテナンスしたり…どれも誰かがやらなければならないことです。もし、みなさんがそれらを面倒だと感じていたとしても、代わりに僕がそれなりにうまく片付けられているのであれば、それは…みなさんのお役に立てているということ、ですよね?
●噂話について…あの、本当にごめんなさい…!モンドに戻って数日の間に、あなた方のことをちゃんと聞きました。あなたやパイモンさんのような規格外の「強者」は、きっとご自分なりの独特なルールがあるに違いないと思い込んでいました…例えば、一部とはいえそうした方は気難しくて、言葉ひとつ間違えたら怒られるかも…とか。幸いなことに、お二人はとても優しい方でしたから、心配する必要は全くありませんでしたね。
●合言葉について…前衛の中には、「オクダヴィ」を「ボルトが尽きた、拠点に戻る」、「ヴィーラ」を「状態良好、交戦可能」という意味で使う方がいます…僕たちも、いくつか合言葉を決めるのはどうでしょう?何しろ、僕たちは長期的に連携を取るかもしれないんですから、そのほうが都合がいいと思いまして…もちろん、あなたが決めてください!僕はそれに従いますから。
●「神の目」について…:正直なところ、僕も「神の目」を手に入れられたことは驚きでした。その力にいろいろと助けられてはいますが、ただそれに頼るだけではなく、あくまでも保険として使っていこうと思っています。騎士団の一員として、もっとチームワークに気を配って、仲間たちと一緒に困難を乗り越える方法を考えるべきですから…
●シェアしたいこと…:距離を簡単に測れる方法があるので、よければ参考にしてみてください――目標に向かって腕をまっすぐに伸ばして親指を立て、まず右目だけで親指を見ます。次に左目だけで親指を見た時、親指が移動した間のおおよその距離を推定して、そこに数字をかけることで…山の高さや川幅、山の頂上まで一気に登れるかどうか、向こう岸まで泳げるかどうかなどが、あらかじめ確認できるようになるはずです。
●興味のあること…:クレー先輩から、世の中には音を伝達できる植物があると聞きました…こうした植物を持ち歩けたらいいですね。そうすれば、リアルタイムで地形の情報を報告できるようになりますし、前線に残って後方の仲間をガイドしたり、遠くからボルトを放って、脅威を早めに取り除いたりすることもできるかもしれません…
●ミカを知る・1:ぼ、僕のことですか?えっと、そのう…面白い話なんて何もない、ごく普通の人間ですから…これまでの経歴くらいしかお話できないのですが、それでも聞いて頂けますでしょうか?
●ミカを知る・2:僕は小さい頃から、テイワットの隅々までその輪郭をなぞる地図測量士になりたいと思っていました。その後、騎士団にちょうどそのようなポジションがあることを知り、兄と父の支持のもと選抜に応募して、前進測量士になりました…この仕事のおかげで理想の生活を送ることができているので、僕はもう満足です。
●ミカを知る・3:騎士団のみなさんはとても強くて、どなたからも学ぶに値することがあります。みなさんに新しい技能を教わったわけですから、今度は僕が恩返しをするべきですよね…なので、もし僕の力が必要であれば、必ず全力を尽くしてサポートします…!
●ミカを知る・4:ただ、大団長やエウルア隊長のために何度か働いたせいで、僕を二人の使者であるかのように見なす仲間も出てきました。もし僕が間違ったことを言ったせいで、それが二人の長官の迷惑になったら…それは僕の責任です。なので、よく知らない仲間と話すたびにどうしても遠慮してしまって、結果臆病だと思われてしまうんです…これも、一種の誤解と言えるのでしょうか?
●ミカを知る・5:幸い、遠征を体験してからは、それほど心配することもなくなりました。他の人に迷惑をかけなければ、どう思われても構わないと思えるようになったんです。騎士団は僕にとって第二の家のようなものです。ですから、僕は前進測量士の仕事を完璧にこなし、家族のみなさんが無事に仕事を終わらせて、毎日を安心して楽しく過ごせるよう、頑張っていきたいと思います!
●趣味:趣味ですか?…仕事以外で一番好きなことは…見知らぬ場所でキャンプをすることでしょうか。見たことのない絶景を眺めたり、快適な拠点を設置したり、焚き火をして美味しい料理を作ったり…本当に楽しいですよ!
●悩み:正直、初対面の方と接するのが苦手なんです。たぶん、物事を伝えるコツがわからないんだと思います…是非、レクチャーして頂けませんか?
●好きな食べ物:大団長曰く、僕みたいな若者はもっと肉を食べて力をつけ、身体を鍛えるべきだそうです。丈夫で筋肉質な体には、ちょっとなれそうにないんですけど…肉料理は好きなので、少なくとも遊撃小隊のみなさんとの相性は良いですね。
●嫌いな食べ物:兄と違って、僕はお酒の味わいというのがまったく理解できません…ほんの少し口に入れただけで、みなさんに迷惑をかけるほど酔っ払ってしまうんです。長く熟成した強いお酒ともなると、栓を抜いた後の匂いを嗅いだだけで、うぅ、足がすくんでしまうこともあります…
●突破した感想・起:あなたにはまだ及びませんが、少なくとも足を引っ張らないだけの自信がついたと思います…!
●突破した感想・承:より有益な情報をお届けし、少しでもあなたの抱える重圧を…解消するお手伝いができればと思います!
●突破した感想・転:どうか…僕があなたにずっと同行することを、足元の大地を共に測量することを、許可してください!
●突破した感想・結:本当にありがとうございます!これで、また目標に一歩近づくことができました――みなさんが険しい地形に苦戦したり、隅に潜む危険に怯えたりすることなく、安心して前に進めるという目標に!
関連キャラクター
★アルベド:アルベド長官には大変お世話になりました…僕がよく使う測量装備は、アルベド長官の手掛けたものなんです。木に逆さまにぶら下がった時でも、正常に使える製図ペンなんかもあるんですよ。ただ、絵を描くのと地図を作るのは、あまり共通点がないみたいで…以前、補足情報として目標エリアのスケッチを何枚か描いてみたんですが、それを見たアルベド長官は長い間黙り込んでしまいました…
★アンバー:アンバー長官…アンバー先輩は最も頼りになる前衛で、偵察分野における「強者」です!前進測量士と偵察騎士はどちらも常に主力部隊に先んじて行動するので、この二つのポジションはとても近いんです。アンバー先輩は経験豊富ですから、サバイバル術や、弦とボルトの手入れのコツなど、いろいろと勉強させていただきました。
→あっ!ミカはエウルアの隣の古参隊員なんだ。最初はわたしがエウルアと仲がいいのを見たからか、わたしのことをずっと長官って呼んでたの。偵察の心得を話してあげたら、今度は先輩って呼ぶようになって…なんだかわたしのほうが恥ずかしくなっちゃったんだ…職務は違うけど、ミカの地図を作る際は、わたしじゃ到底かなわないものだよ。
★ウェンティ:あの吟遊詩人の方がとても好きなんです…楽器を演奏する「強者」と言えるでしょうね。彼のメロディーからはいつも、家に帰ってきたときのような親しみを感じるんです。もしモンドを代表する曲を選ぶとしたら、僕は躊躇なく彼の作品を選ぶでしょうね。ただ、僕が普段あまり街にいないのが残念です。そうでなければ、毎日彼に何か贈り物ができたと思うんですが…
★エウルア:任務…エウルア隊長は独特な戦闘スタイルを持つ「強者」です…いつもお世話になっています。入隊当初から、他の隊員の数倍に及ぶ多彩な任務を任されまして、僕の適応力を物凄いスピードで鍛えてくれたんです。エウルア隊長の言い回しも、慣れると一緒に過ごす時間がとても楽しいですよ!
振る舞い…実は僕、エウルア隊長のことが羨ましいんです。気さくで優しいだけじゃなく、内面もとてもタフですから…もし、僕が他人に変な目で見られたり、陰口を言われたりしたら…外に出るのが怖くなっちゃうかもしれません…
→交流…ミカが遊撃小隊に配属された時、彼も他と同じように何日もしないで辞めていくものだと思っていたわ。けれど、彼は何も言わずに任務を完璧にこなした。それどころか、使い走りの任務をすべて自分から引き受け、他の人とコミュニケーションが必要になることは、私の代わりにしてくれたの…ふんっ、どうしてみんな私の世話をしたがるのよ。まったく、いったい誰から学んだのかしら…
帰還…今回ミカが遠征隊から戻ってきたけど、性格に変化はなかったわ。でも、実力のほうは格段に増していた。どうやら大団長はきちんとみんなを鍛えていたようね…ん?彼自身もそれに気付いていない?それは彼が鈍いからでしょ…それか、謙虚なのよ。私の小隊の一員なんだから、成長したことなんて一目でわかったわ。
★ガイア:入団前に何度もテストを受けたんですが、当時の主任試験官がガイア隊長だったんです。ガイア隊長はいつも僕を応援してくれて、いろんなアドバイスをくれました。ただ…今でも時々ガイア隊長の言葉は理解できなくて、話のペースについていけてるか、興ざめさせたりしないかと、いつも心配になってしまいます…
→最初のころ、ミカが結構なあがり症なのを見て、ちょっとした冗談を言ってやったんだ。だが、そのせいでさらに緊張させちまって、ひきつった笑顔を浮かべてな…挙句の果てに、謝罪の手紙まで送ってきたんだ。ハハッ、この単純で素直な気質は、シュミット家の遺伝と言うべきか?
★クレー:クレー先輩ですか?とても明るい性格で…大団長と対等に渡り合えるような「強者」だとか…?何回か僕を冒険に誘ってくれて、とても楽しい時間を過ごしましたよ!たまに強力な武器の実験をするので、いろんな場所の地図を描き直させられたりもしますけど…僕も、やりがいがあると思ってます!
★ジン:副団長…いえ、代理団長は心強い先輩で、いつもみんなを守ってくださる「強者」なんです。仕事のスケジュール管理から、戦傷医療、料理まで、代理団長から学べることは尽きません…
→大団長がミカを遠征隊の斥候の要として選んだのは、任務の必要性だけでなく、彼の地道で勤勉な態度を見込んでのことだ。私の個人的な意見だが、このような仲間と共に仕事ができることをとても光栄に思う。
★ファルカ:教え…ファルカ大団長は尊敬に値する正真正銘の「強者」であり、僕の戦闘における師匠でもあります。大団長は僕が小柄で体力の優位もないことを察して、「戦闘の理念は柔軟に」や、「敵との接近戦は避けるように」といったことを教えてくれました…そのため、僕は槍やクロスボウなどを使って敵と戦うことを覚えました。実際、この戦い方は確かに僕によく合っています。
「隊長」…大団長からは、「より高い目標を立てて、腕を磨き続けろ」と言われました。それ以来、ずっとその考えを持ち続けていたんですが、遠征して初めて、物事の深刻さに気付きました…ある日、「隊長」と名乗るファデュイの執行官に出会ったんです。あんな相手とどう戦えばいいのか、想像もつきませんでした…「強者」の境地は、僕には遠すぎます…
★リサ:独学で測量を勉強していた時、リサ長官はいつも手伝ってくれて、役立つ本をたくさん見つけてきてくれました。僕も、リサ長官のように博識になれたらいいなぁ…知識は多いに越したことはないですし、いつそれが必要になるかは分からないですからね。
→ホフマンさんにあんな面倒見のいい弟くんがいたなんてね。日常生活のお手伝いだけじゃなく、酔ったあとの介抱も完璧。わたくしも何も気にせず、のんびりとダラダラした毎日を過ごしたいんだもの…ん?今もあまり変わらない?可愛い子ちゃんも、言うようになったじゃないの。