旧貴族のしつけ(きゅうきぞくのしつけ)

旧貴族の花(きゅうきぞくのはな):絹で作った瑠璃色の花、様々な場面で付けられた。今でも捨てられた日と同じくらい鮮やかである。
…緻密で滑らかな絹で作られた青い百合。
旧貴族の女性が使っていた冠り物。

かつてモンドを支配していた旧貴族が残した精巧な髪飾り。
あの伝説の時代、貴族と容姿と立ち居振る舞いは一般人の模範であった。
その行動や知恵によってモンドの民を導き、臣民を統べただけでなく、
容姿がまでもが整っており、彼らはモンド人を代表するものであった。
それは単に高貴な血を受け継いだからではない。
彼らが美徳を守り、周囲と原則と尊重を保って行動したためであった。

だが、彼らの限りない欲望によって、貴族の寿命は縮まった。
自慢だった華麗な美貌も衰えていった。

旧貴族の羽根(きゅうきぞくのはね):モンドの旧貴族が狩りの時に帽子につけた羽根、今でもまっすぐに立っていて、時間の影響を受けていない。
…猟鷹の羽根、旧貴族の帽子のつばに誇り高く立っている。
領民と共に狩りに出た、獲物を分かち合うのは古い伝統である。

かつてモンドを支配していた旧貴族は、よく荒野に出入りしていた。
従者や領民と共に広い大地で狩りをした。
出猟は貴族にとって、力と寛大さを示すものであった。
民にとっても、楽しみのひと時であった。

やがて、狩りは貴族の私欲を満たす虚しいものとなった。
貴族は欲望のままに従い、獲物を分かち合わなくなった。
羽根はまだはためいていたが、色は変わったように見えた。

旧貴族の時計(きゅうきぞくのとけい):モンドの旧貴族の懐中時計、長い族譜と共に今日に伝わった。
…青い宝石で作られた懐中時計、見た目は極めて精巧で美しい。
時を経ても、カチカチと鳴っている。

かつてモンドを支配していた旧貴族の懐中時計、今でも精確に動いている。
時間を守ることは最も基本的な美徳の一つ。そのため、貴族はいつも手元にこれを置いていた。
臣民に用心させるためだけでなく、自分を律するためでもあった。
正しい貴族であれば、毎朝、民よりも鋭敏でなければならない。
また夜になれば、民よりも先々まで深く考え、より早く起きなければならなかった。

だが長年を経て、厳しかった貴族の日課は怠惰な子孫によって捨てられた。
貴族の懐中時計はより煌びやかとなり、その荘厳な意味は失われた。

旧貴族の銀瓶(きゅうきぞくのぎんびん):モンドの旧貴族が使っていた瓶、中身は何もなく、悲しい風の音だけが響いている。
…青い宝石で作られたアクセサリー瓶。白銀の徽章が飾られている。
見た目は精美で優雅である。モンドの旧貴族の高雅なセンスが窺える。

かつてモンドを支配していた旧貴族が残したアクセサリー瓶。
今はもう、その中に精美なアクセサリーはない。
贅沢なアクセサリーは貴族の地位と財産を象徴していただけでなく、
モンドの民の自信と尊厳、繁栄を表した。

やがて、貴族の欲望は徐々に止まらなくなり、
民から搾取し、自分の欲望を満たすこと以外、何もしなくなった。
アクセサリーも虚飾を担うものとなった。

旧貴族の仮面(きゅうきぞくのかめん):モンドの旧貴族が舞踏会に使用していた仮面、空洞となった目の縁は今でも昔の光景を見つめている。
…精巧な花柄の彫刻が施された白銀の仮面。黄金と宝石が散りばめられている。
作りは精良で繊細であり、旧貴族の優雅な礼儀が窺える。

モンドを支配していた旧貴族は、元々民衆の中から選ばれた英雄であった。
偉大な族長と優雅な子弟、美しい姫と貴婦人たちも
宴の中で同じ土地の人民と共に食糧や喜びを分かち合っていた。
あの遥か過去の時代に、自分の知恵と財を惜しむ貴族などいなかった。

あの黄金時代、貴族は知識と利益を人々へ公平に分配した。
だが、やがて貴族は堕落していき、宴はただの権力を誇示する私欲を満たすための虚しい場となった。